Oura RingとSOXAI Ringを同時につけて寝ると、毎朝こんな会話が起きる。
「今日のOuraは65点か。まあまあだな」
「……SOXAIは27点だけど」
同じ夜、同じ体、同じ腕(正確にはOuraは右手薬指、SOXAIは左手薬指)なのに、スコアが38点違う。
こういうことが、毎朝起きている。朝食前から数字に振り回されている40代、客観的に見るとシュールである。
計測オタクとして、この「ズレ」がずっと気になっていた。4日分のデータが貯まったので、3デバイス同時比較をまとめてみる。
使っているデバイス
Oura Ring(Gen3)
フィンランド発のスマートリング。睡眠トラッキングの分野では最も信頼性が高いとされる。HRV・SpO2・体温偏差も計測。
SOXAI Ring
日本発のスマートリング。2024年末から日本市場で本格展開。Oura Ringより安価で、睡眠負債の概念を取り入れたスコアリングが特徴。
Apple Watch(Series 9)
言わずと知れたスマートウォッチ。睡眠計測機能はiOS 16以降で強化。ただし睡眠スコアは出ない(ステージ計測のみ)。
4日間の比較データ

| 日付 | Oura | SOXAI | 差 |
|---|---|---|---|
| 3/8 | 82点 | 53点 | Oura +29点 |
| 3/13 | 60点 | 92点 | SOXAI +32点 |
| 3/15 | 65点 | 42点 | Oura +23点 |
| 3/16 | 76点 | 98点 | SOXAI +22点 |
最大で32点差。しかも面白いのは、差が一方向に偏っていないこと。Ouraが高い日もあればSOXAIが高い日もある。「どちらが正しいか」ではなく、「何を計測してスコアを出しているか」が違うのだと理解するのが正解だと思う。
スコアが大きくズレた日の解説
3/13(Oura 60点 vs SOXAI 92点):SOXAIが32点高い
この日は飲み会明けだった。OuraのHRVは24ms(低め)で「体への負担あり」と判断。一方SOXAIは睡眠時間と深い睡眠の絶対量を重視するため、4時間以上深い睡眠が取れた事実を高く評価した。同じ「飲み会の翌朝」でも、見ているレイヤーが違うので評価が真逆になる。
3/16(Oura 76点 vs SOXAI 98点):SOXAIが22点高い
睡眠時間が8時間43分と長かった日。SOXAIは「長く眠れた=回復できた」と評価。Ouraは効率77%を「中庸」と見て76点に留めた。SOXAIの98点は王手リーチ級の高評価。Ouraの76点は「ふつうに良い」レベル。同じ長時間睡眠でも、評価の振り幅がここまで違う。
3/15(Oura 65点 vs SOXAI 42点):Ouraが23点高い
睡眠時間が4時間43分と短かった日。SOXAIは睡眠負債の観点から厳しく減点。Ouraは「短くても深い睡眠の割合が出ていた」として65点をつけた。SOXAIは時間という総量に厳しく、Ouraは中身に寛容。
飲み会翌日のスコア低下を112日分のデータで検証した記事もある → 飲み会の翌朝、Ouraのスコアは何点下がるのか?112日分のデータで検証
深い睡眠の計測値も全然違う

| 日付 | Oura | SOXAI | Apple Watch |
|---|---|---|---|
| 3/8 | 46分 | 106分 | 38分 |
| 3/13 | 38分 | 84分 | 55分 |
| 3/15 | 36分 | 65分 | 47分 |
| 3/16 | 74分 | 169分 | 25分 |
SOXAIが一貫してOuraとApple Watchより多く深い睡眠を検出している。3/16に至ってはOura 74分・SOXAI 169分・Apple Watch 25分と、3デバイスがそれぞれ違う宇宙の話をしているレベル。同じ夜に同じ体で寝ているはずなのだが。
SOXAIは「動き」を主な判断基準にしているため、体が静止している時間を深い睡眠と判定しやすい。Ouraは心拍変動(HRV)も加味して判定するため、より保守的な数値が出やすい。Apple Watchはまた別のアルゴリズムで動いている。要するに、「深い睡眠」という言葉の定義そのものが、デバイスごとに違う。
これを「どれが本当?」と問うのは、たぶん間違っている。3つの違うものさしで測っているのだから、答えが3つ出るのは当然である。
HRV(心拍変動)はどうか

| 日付 | Oura | SOXAI | Apple Watch |
|---|---|---|---|
| 3/8 | 30ms | — | 33.2ms |
| 3/13 | 24ms | 28ms | 35.2ms |
| 3/15 | 32ms | 34ms | 28.7ms |
| 3/16 | 18ms | 21ms | 38.2ms |
HRVに関しては、OuraとSOXAIは比較的近い値を示すことが多い。Apple Watchはアルゴリズムが異なるためか、やや高めの傾向。深い睡眠ほどの大暴れは起きていない。
HRVは「客観的な生体信号」に近い指標なので、メーカーが違っても結果が揃いやすい、ということなのかもしれない。一方、深い睡眠は「アルゴリズムが体動と心拍からどう推定するか」というレイヤーなので、メーカーごとの解釈でブレやすい。下流に行くほど計測値が揃い、上流に行くほどブレる。これはこれで興味深い構造である。
なお私のHRV低下傾向は、Apple Watchの8年データでも確認されている → Apple Watch 8年・2,831日データ|HRV-7msという加齢の現実。3つのデバイスが3つの違うアルゴリズムで揃って同じことを言ってきている時点で、これはセンサーの問題ではなく私の問題である。
3デバイスを同時使用して気づいたこと
① 「スコア」は参考値として使うのが正解
同じ体のデータでこれだけ差が出る。スコアに一喜一憂するより、「先週より高いか低いか」「HRVが下がった日は何があったか」という相対的な変化を見るべきだと実感した。絶対値の議論は不毛である。デバイスが違えば絶対値も違う。
② SOXAIは睡眠負債を重視する設計
SOXAIのスコアが低い日は「睡眠が足りていない状態が続いている」という警告に近い。飲み会が多い週はSOXAIのスコアが下がりやすく、それがデータとして見えるのは有用だと感じている。SOXAIの設計思想については1ヶ月レビューで詳しく書いた → SOXAI Ring 1ヶ月レビュー|Ouraと同時装着して分かった、スコアが全然違う理由
③ Apple Watchの睡眠計測は「おまけ」ではない
充電の問題から敬遠する人も多いが、8年間のデータが積み上がっていることの価値は大きい。スコアはなくても、長期トレンドの把握には最も優れている。Oura Ringの長期データ(444日分)もあるが、Apple Watchの2,831日には敵わない → Oura Ring 1年半使い続けて分かったこと|444日分の睡眠データ総振り返り
結論:どれを買えばいいか
| デバイス | こんな人に向いている |
|---|---|
| Oura Ring | 睡眠の「質」を深く知りたい。HRVや体温偏差まで気にする人 |
| SOXAI Ring | 睡眠負債や目標達成率など「頑張り度」を数値化したい人。価格を抑えたい人 |
| Apple Watch | iPhoneユーザーで健康管理全般(運動・心拍・睡眠)を1台でやりたい人 |
私は3台同時につけているが、それぞれ「別の角度から同じ夜を見ている」感覚で使っている。3デバイスは3人の鑑定士のようなもので、それぞれが違う基準で同じ作品を評価している。3台使うのは計測オタクすぎるので普通は1台で十分である。
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本記事のデータはすべて個人の計測結果です。デバイスの性能を保証するものではありません。