「また飲み会か……」を112回記録し続けた結果
仙台で働く40代会社員、飲み会は週2〜3回が当たり前である。断る気はとくにないし、むしろ楽しんでいる。ただ、翌朝にOura Ringを見るたびに「あ、終わった」という光景を、112回繰り返してきた。
そこで疑問が湧いた。「飲み会の翌日、本当に何点くらい下がっているのか?」と。なんとなく「下がる気がする」では計測オタクとして失格である。データで確かめてみた。
2024年10月から2026年3月にかけて、飲酒翌日112日・通常日301日のデータを比較した結果をお届けする。先に結論を言うと、平均▲4.2点。「思ったより少ない」と思った人、あなたは正常な感覚を持っている。私もそう思った。だが内訳を見ると、話はそんなに甘くない。
データ収集の方法
使ったツールは2つ。食事記録アプリ「あすけん」でアルコール摂取カロリーを毎日ログし、睡眠・回復データはOura Ring(Gen4)で取得した。SOXAI RingとApple Watchも同時着用しているが、今回の分析はOuraに絞っている。
- 分析期間:2024年10月〜2026年3月(約17ヶ月)
- 飲酒日総数:174日
- 飲酒翌日サンプル:112日(前後のデータが揃う日のみ)
- 通常日サンプル:301日(前日飲酒なし)
「飲酒翌日」の定義は「あすけんでアルコールカロリーが1kcal以上記録された翌日」。ビール1杯でも該当する。なお、17ヶ月で174日飲酒というのは、年換算で約123日/年飲酒している計算になる。3日に1回のペースである。書いていて少し怖くなった。
結果①:飲酒翌日の睡眠スコアは平均▲4.2点

▲ 飲酒翌日と通常日の比較。スコアもHRVも心拍もきれいに悪化している
| 指標 | 飲酒翌日(112日) | 通常日(301日) | 差分 |
|---|---|---|---|
| 睡眠スコア | 65.5点 | 69.7点 | ▲4.2点 |
| REM睡眠 | 82分 | 92分 | ▲10分 |
| 深い睡眠 | 46分 | 46分 | ほぼ同じ |
| 夜間HRV | 24.3ms | 28.3ms | ▲4.0ms |
| 最低心拍 | 65.4bpm | 60.5bpm | +4.9bpm |
平均▲4.2点。正直、もっと壊滅的な数字を覚悟していた。週2〜3回飲んでいる体感としては、毎回スコアが半分くらいに溶けている気分でいたので、「平均で4点ちょっと?」というのは拍子抜けでもある。「飲んでも意外と耐えられている」と一瞬喜びかけたが、これはあくまで平均。後述するが、量で二分割するとこの希望はあっさり粉砕される。
注目したいのは深い睡眠とREM睡眠の動き方の差である。深い睡眠(ノンレム睡眠)は46分でほぼ変わらない一方、REM睡眠は10分も減っている。同じ「睡眠時間」のように見えても、中身が確実に削れている。アルコールはこの非対称な削り方をする。これが翌日の頭の重さの正体である。
結果②:量で二分割したら、希望は粉砕された

▲ 飲酒カロリーと睡眠スコアの散布図。右に行くほどスコアが落ちる
112日分を飲酒カロリーの中央値(648kcal)で二分割してみた。ビール中瓶1本が約200kcalなので、648kcalはざっくり「中瓶3本分」が境界線である。
| グループ | 睡眠スコア | HRV | 通常日との差 |
|---|---|---|---|
| 少量(〜648kcal) | 69.6点 | 26.7ms | ほぼ同等 |
| 多量(648kcal超) | 61.2点 | 21.85ms | ▲8点以上 |
少量グループは通常日(69.7点)とほぼ同じ。「1〜2杯程度ならOuraはほとんど反応しない」のである。これは少しいい話である。
問題は多量グループ。スコアが8点以上落ち、HRVも通常日から6ms以上下がっている。「中瓶3本超え」が境界線。3本目をオーダーした瞬間、Oura Ringのスコアと先物取引している自覚を持った方がよい。
「量さえ守れば飲み会OK」という希望の光が見えた。いや、実際に守れるかどうかは完全に別の話であるが。「3本でやめる」と「3本でやめられる」の間には、太平洋ほどの距離がある。
結果③:アルコールはREM睡眠を奪う
深い睡眠が変わらないのにREM睡眠が10分も減る。これは生理学的にきれいに説明がつく。
アルコールは睡眠の前半(入眠〜深夜)を鎮静薬のように働き、ノンレム睡眠(特に深い睡眠)を一時的に増やす、または維持する方向に作用する。問題は後半である。アルコールが代謝されると、交感神経が優位になり、後半に本来来るはずのREM睡眠が抑制される。
REM睡眠は記憶の整理・感情処理・認知機能の回復に関わるフェーズ。「飲み会翌日、なんか頭が重い」「集中力が低い」という感覚の正体が、この10分の損失かもしれない。10分。たった10分。だが体は10分の不足にしっかり気づいて、翌日のパフォーマンスを落としてくる。律儀である。
最近の具体例(ひどいやつだけ抜粋)
| 日付 | 前日飲酒kcal | 睡眠スコア | 深い睡眠 | HRV |
|---|---|---|---|---|
| 2026-03-16 | 1,293kcal | 76点 | 74分 | 18ms |
| 2026-03-13 | 1,167kcal | 60点 | 38分 | 24ms |
| 2026-03-12 | 1,109kcal | 85点 | 82分 | 26ms |
| 2026-03-10 | 586kcal | 29点 | 16分 | 19ms |
| 2026-01-11 | 179kcal | 32点 | 4分 | 24ms |
3月12日は1,109kcal飲んでスコア85点。なぜか勝った。一方、3月10日は586kcalなのにスコア29点。29点である。中学校の数学なら追試決定である。1月11日に至っては179kcalしか飲んでいないのにスコア32点。ビール小瓶1本にしては被害が大きすぎる。
このあたりは風邪や別の体調不良が重なった可能性が高く、アルコール以外の要因も絡んでいる。実際のデータは、教科書みたいにきれいには動いてくれないのである。
結果④:OuraがHRVと心拍でアルコールを「検知」している
Oura Ringの公式情報によると、アルコールが体に与える影響として以下が挙げられている。
- 心拍変動(HRV)の低下
- 安静時心拍数の上昇
- 皮膚温の上昇
今回のデータでも夜間HRVが▲4.0ms、最低心拍が+4.9bpmとなっており、Ouraの指摘通りの変化が出ている。HRV24.3msというのは、私の通常の「調子の悪い日」レベル。心拍65bpmは、通常なら「少し体を動かした後」くらいの値である。
つまり、ベッドで寝ているはずなのに、体は「いまジョギング中ですか?」くらいの状態にある。寝ている間も、肝臓と心臓だけは時間外労働している。
体はちゃんと正直に反応していた。「気のせい」ではなかったのである。
月別推移:習慣の変化が数字に出る

▲ 月別の飲酒翌日スコア。年末年始と歓送迎会シーズンに谷が来る
月別に見ると、年末年始(2024年12月〜2025年1月)と歓送迎会シーズン(2025年3月〜4月)に飲酒頻度のピークがある。スコアへの影響も同時期に悪化しており、「飲んでいる自覚がある時期は実際にデータも悪い」という、当然の結果が出た。日本の社会人カレンダーは肝臓に厳しい。
逆に、お米3食ダイエットを本格化させた2025年秋以降は、全体的なスコアが改善傾向。飲酒日でもスコア65点台を保てるようになってきた。体重が落ちると睡眠の質も上がるのか、食事の改善が全体的な回復力を高めているのか、因果はまだ分離できていない。だが何かが効いている。
※「飲んでも痩せた」現象の方は、食事データ17ヶ月分・3,944品目で詳しく検証している → 173日お酒を飲んでも3kg減。17ヶ月・3,944品目の全食事データが示す翌日リセット
※お米3食ダイエットの全体像と体組成変化はこちら → お米3食ダイエット1年5ヶ月|▲3.3kg・体脂肪▲2.7ptの全データ
まとめ:▲4点なら許容範囲か?多量飲みは明らかにNG
112日間のデータが出した答えをまとめると、こうなる。
- 飲酒翌日の睡眠スコアは平均▲4.2点。思ったより小さい
- ただし飲んだ量によって話が変わる。648kcal以下なら通常日と大差なし、超えると8点以上下がる
- 深い睡眠よりもREM睡眠が10分削られる。翌日の頭の重さに直結する
- HRVと最低心拍は正直。寝ているのに体は走っている
- 少量なら飲み会は「計測的に許容範囲」かもしれない。ただし守れるかは別問題
「▲4点なら許容範囲では?」と感じる一方で、多量飲みの翌日は60点台前半。平均70点が私の「普通の調子」なので、そこから9点落ちは体感的にかなりしんどい。「また飲み会……」から「また1,000kcal超えた……」を減らすのが現実的な改善策だと実感している。飲み会を断るのではなく、3本目を断る。これなら、まあ、できなくもない(と毎回思っている)。
飲み会を断るつもりはまったくないので、今後は「量のコントロール」に向けてデータを活かしていきたい。次の検証候補は「飲み会翌日の午後パフォーマンス(心拍・HRV日中推移)」。地獄の昼下がりを定量化する予定である。
※そもそもOura Ringの睡眠スコアが何で決まるかは、413日分のデータで相関分析した記事がある → Oura Ringの睡眠スコアは何で決まる?413日分の相関分析
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全データ・詳細分析はNoteで公開中
この記事で紹介したデータの詳細は以下のNote記事で公開しています。
👉 【全データ公開】お米3食ダイエット1年5ヶ月の記録(Note)
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最後まで読んでいただきありがとうございました。「自分も似たようなデータが出た」「全然違う」など、コメントで教えてもらえると嬉しいです。