計測オタクの生活ログ

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Oura Ringの睡眠スコアは何で決まる?413日分のデータで相関分析したら「睡眠時間」が圧倒的だった

Oura Ringの睡眠スコア、毎朝チェックしていますか?

毎朝チェックしている。それはいい。では、あの数字が何で決まっているか、説明できますか?と聞かれると、たいていの人は黙る。私も黙っていた1人である。

そこで444日間Oura Ringをつけて寝続け、有効データ413日分を統計的に分析した。睡眠時間、REM睡眠、深睡眠、HRV、心拍数。10個の指標との相関係数を計算した結果、スコアを最も左右する要因は、想像していたよりはるかにシンプルだった。シンプルすぎて、最初に結果を見たときは「これだけのために413日分計測したのか」と少し脱力した。

Oura Ringの睡眠スコアとは

Oura Ringの睡眠スコアは、毎晩の睡眠を0〜100点で評価する総合指標である。睡眠時間・睡眠効率・REM睡眠・深睡眠・入眠潜時・心拍数・HRV(心拍変動)など、複数の要素を組み合わせて算出される。

公式には「85点以上で王冠マーク」「70点以上でまあまあ」とされているが、具体的にどの指標がどれくらい影響するかは公開されていない。なら自力で逆算するしかない、というのが計測オタクの発想である。413日分のデータを使って、実測値からブラックボックスを覗いてみた。

413日間の睡眠スコア:平均68.5点、王冠は遠い

まず、分析に使ったデータの概要から。

項目 数値
計測期間 2024年12月30日〜2026年3月17日
有効データ日数 413日
平均睡眠スコア 68.5点(中央値: 71.0点)
最低 24点
最高 90点
標準偏差 11.5点

平均68.5点。正直、いい数字ではない。中学校の数学なら赤点ギリギリで親が呼び出されるレベルだが、私は40代会社員、誰も呼び出されない。スコアだけが静かに低い。

中央値71.0点との差がある時点で、低い方に引っ張られる日がそれなりにあることが分かる。最低24点という日も存在する。24点。何があったのかは記憶にない方がいい類の数字である。

スコアの分布はこうなる。

スコア帯 日数 割合
〜49点(最低) 33日 8%
50〜59点 40日 10%
60〜69点 124日 30%
70〜79点 154日 37%
80〜89点 61日 15%
90点以上 1日 0.2%

70点台が154日で最多。一方、60点未満の日が73日(18%)もある。5日に1日は60点未満。そして90点以上は413日中たった1日。王冠は地平線の彼方にある。

相関分析で判明:睡眠スコアを決める要因ランキング

ここからが本題である。睡眠スコアと10個の指標それぞれについて、ピアソンの相関係数を計算した。相関係数(r)は-1〜+1の値で、1に近いほど「一方が上がればもう一方も上がる」、-1に近いほど「一方が上がればもう一方は下がる」という関係を示す。

睡眠スコアとの相関係数ランキング

▲ 睡眠スコアとの相関係数ランキング。睡眠時間がr=0.861で圧倒的1位

順位 指標 相関係数(r) サンプル数
1 睡眠時間 r = 0.861 408
2 REM睡眠時間 r = 0.795 408
3 睡眠効率 r = 0.638 408
4 浅睡眠時間 r = 0.628 408
5 深睡眠時間 r = 0.511 408
6 最低心拍数 r = -0.552 408
7 平均心拍数 r = -0.488 408
8 平均HRV r = 0.392 408
9 入眠潜時 r = -0.181 408
10 覚醒時間 r = -0.175 408

睡眠時間が圧倒的1位(r=0.861)

睡眠時間の相関係数はr=0.861。統計学的に「非常に強い正の相関」に該当する。要するに「長く寝ればスコアが上がる」。身も蓋もない結論である

2位のREM睡眠時間(r=0.795)も非常に高いが、REM睡眠は睡眠時間が長くなれば自然に増えるので、実質的に1位の親戚である。3位以降は睡眠効率(r=0.638)、浅睡眠時間(r=0.628)、深睡眠時間(r=0.511)と続く。

注目すべきは深睡眠の順位である。健康系メディアでは「深睡眠こそが質の高い睡眠」という煽り方をされがちだが、相関は0.511で5位。「深睡眠を増やすサプリ」を飲むより、布団に入る時間を30分早める方がスコアに直結する。深睡眠は「結果」であって、「原因」ではないということである。

心拍数は「負の相関」:低いほどスコアが高い

最低心拍数(r=-0.552)と平均心拍数(r=-0.488)は負の相関。就寝中の心拍数が低い夜ほどスコアが高い。副交感神経が優位な、リラックスした深い睡眠状態を反映している。

飲酒した日に心拍が上がってスコアが落ちるのも、この関係で完全に説明できる。実際、飲み会翌日のデータでは最低心拍が+4.9bpm上がっていた。体は寝ているのに走っている、という現象である(詳細は飲み会112日分の検証記事に書いた)。

HRVは意外と低い(r=0.392)

そして今回の分析で最も意外だったのが、HRV(心拍変動)の相関係数がr=0.392だったことである。10指標中8位。

HRVはOuraアプリ上で「コンディションスコア」の主要指標として大きく表示され、健康系メディアでも「HRVが高い=体調が良い」と頻繁に語られる。SNSでも「今日のHRV、過去最高でした!」と自慢している人を毎日見る。あれだけ持ち上げられている指標が、睡眠スコアに対しては10指標中8位。私は少し笑ってしまった。

HRVを上げれば睡眠スコアが上がる、と信じていた人にとっては拍子抜けの結果である。私は信じていた1人なので、自分で出したデータに自分でツッコまれている。

低スコア日 vs 高スコア日:何が違うのか

次に、睡眠スコアが59点以下だった73日間と、80点以上だった62日間を比較してみた。

指標 低スコア日(〜59点・73日) 高スコア日(80点〜・62日)
睡眠時間 3.94時間 6.90時間 +2.96時間
REM睡眠 0.86時間 1.98時間 +1.12時間
深睡眠 0.51時間 0.94時間 +0.43時間
睡眠効率 74.74% 87.75% +13.01pt
HRV 21.32ms 30.12ms +8.80ms

最大の差は睡眠時間で、約3時間の開き。低スコア日の平均はわずか3.94時間。4時間を切っている。これはもう「睡眠不足」というより「仮眠」である。一方、高スコア日は6.90時間。7時間弱。世間一般の「睡眠時間」がここでようやく登場する。

REM睡眠は0.86時間 vs 1.98時間で2倍以上。深睡眠も0.51時間 vs 0.94時間とほぼ倍。ただし深睡眠は高スコア日でも1時間未満であり、「深睡眠だけでスコアは決まらない」ことが改めて確認できる。深睡眠は脇役である。

HRVの差は約9msだが、21ms vs 30msという水準自体がどちらも低め。これは私の個人特性(40代男性、平均睡眠時間5時間台)による。HRV30msで「高スコア」と認定されるのは、HRVに詳しい人から見ればなかなか切ない数字かもしれない。

散布図で見る「睡眠時間 vs スコア」の関係

睡眠時間と睡眠スコアの散布図

▲ 睡眠時間と睡眠スコアの散布図(n=408)。右上がりの傾向が明確すぎる

散布図を見ると、睡眠時間とスコアのほぼ直線的な関係がはっきり分かる。3時間以下の夜はほぼ確実に50点未満。5時間を超えると60〜70点台に安定し、7時間を超えると80点台が視野に入ってくる。

ただし、同じ6時間でも60点台から80点近くまでばらつきがある。この「残りの分散」を説明しているのが、睡眠効率や心拍数といった2位以下の指標である。睡眠時間は必要条件であって、十分条件ではない。とはいえ、まず必要条件を満たさない日があまりに多いのが私のデータの実情である。

1年3ヶ月の月別推移:夏秋が高く、冬春が低い

月別の平均睡眠スコア推移

▲ 月別の平均睡眠スコア推移(2025年1月〜2026年3月)

年月 平均スコア 年月 平均スコア
2025年1月 69.7 2025年10月 70.0
2025年2月 66.4 2025年11月 69.1
2025年3月 69.6 2025年12月 67.0
2025年4月 67.6 2026年1月 67.0
2025年5月 66.4 2026年2月 64.4
2025年6月 69.2 2026年3月 65.1
2025年7月 71.9 -  
2025年8月 70.2 -  
2025年9月 73.1 -  

最高は2025年9月の73.1点、最低は2026年2月の64.4点。その差は8.7点。同じ人間が同じデバイスで計測しているのに、季節で8点動く。

全体的に7〜9月(夏〜初秋)にスコアが高く、12〜2月(冬〜早春)に低い傾向。考えられる理由:

  • 夏は日照時間が長く、活動量が増える → 夜の入眠がスムーズになりやすい
  • 冬は忘年会・新年会シーズン → 飲酒頻度の増加でスコアが下がる
  • 2月は年度末の繁忙期 → 残業増で睡眠時間が削られやすい
  • 9月は気温が落ち着き始める時期 → 暑さによる中途覚醒が減る

これは私個人の生活パターンに依存する部分も大きい。万人の真理ではない。ただし「自分のスコアが冬に落ちる」と感じている人は、季節要因を疑ってみる価値がある。気合いの問題ではなく、社会の問題かもしれない。

「HRVが意外と低い」の考察

今回の分析で最も意外だったのは、HRVの相関が0.392しかなかったことである。なぜか。

まず理解しておくべきなのは、Oura Ringの睡眠スコアとコンディションスコアは別物ということ。HRVが主に反映されるのはコンディションスコアの方である。睡眠スコアは「その夜の睡眠そのものの評価」であり、睡眠時間・効率・睡眠段階(REM/深睡眠)の配分が重視される。HRVは「その人の体調全体」の指標であって、「その夜の睡眠の質」とは少しレイヤーが違う、ということなのだろう。

もう一つの可能性は、HRVの個人差が大きいこと。私のHRVは平均25ms前後で、一般的にはかなり低い水準である(低い。低すぎる)。変動幅も小さいため、スコアとの相関が出にくい。HRVが30〜60msのレンジで変動するような人であれば、もっと強い相関が出る可能性はある。

いずれにせよ、「HRVさえ高ければスコアが上がる」というのは、少なくとも睡眠スコアに関しては幻想である。HRVを気にする前に、まず睡眠時間を確保する方がスコアに直結する。これが413日分のデータが示す結論である。シンプルすぎて笑えるが、シンプルだから正しい、という側面もある。

まとめ:睡眠スコアを上げたい人への実践アドバイス3つ

413日分のデータを相関分析して見えてきたことを、実践アドバイスとしてまとめる。

1. まず睡眠時間を確保する(最優先)

相関係数r=0.861。睡眠時間がスコアの大半を説明する。サプリや寝具を試す前に、布団に入る時間を30分早くする方が圧倒的に効果的である。低スコア日と高スコア日の差は約3時間。まずは6時間以上を安定して確保するのがスタートラインで、私はそのスタートラインに立てていない日が多い。私が一番この記事を読むべき人間かもしれない。

2. 就寝前のアルコールを減らす

心拍数との負の相関(r=-0.552)は、飲酒の影響をダイレクトに反映している。アルコールは就寝中の心拍数を上げ、REM睡眠を抑制する。飲み会翌日のスコアは平均▲4.2点、量が多いと▲8点以上落ちるというデータも別記事で出している。「飲まない日を増やす」だけで、スコアが安定しやすくなる。

3. 睡眠効率を意識する(寝床でスマホを見ない)

睡眠効率(r=0.638)は3位。「ベッドにいた時間のうち、実際に寝ていた割合」である。布団に入ってからスマホを見る時間が長いと、睡眠時間は同じでも効率が下がり、スコアに響く。布団=寝る場所、という習慣づけが地味ながら効く。地味ながら、と書いたが、これができていない人が大半だと思う。私もできていない。

※今回の分析対象期間と重なるOura Ring全体のスコア推移は、444日総振り返り記事に書いた → Oura Ring 1年半使い続けて分かったこと|444日分の睡眠データ総振り返り

※直近Q1のスコア低下要因は四半期レポートで深掘りしている → Oura Ring Q1/2026四半期レポート|アクティビティ99点なのに睡眠5時間台

使用デバイス

今回の分析に使ったデバイス。

  • Oura Ring Generation 4 — 睡眠スコア・HRV・心拍数の計測
  • タニタ RD-60S — 体組成計(体重・体脂肪率の記録)

▶ 楽天Room:計測オタクの使用デバイス一覧


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